こどものでべそ
(臍ヘルニア)について
でべそとは、おへそが腸に押し出されて突起状に盛り上がっている状態のことで、正式には臍ヘルニアと言います。盛り上がったおへそは、赤ちゃんが泣いたりいきんだりすると、さらに膨らむ特徴があります。多くの場合、生後1〜2か月頃に見つかります。
このようなお悩みが
よく聞かれます
- 赤ちゃんが泣く度におへそが破裂しそうなほど膨らむ
- 外でオムツを変えるときに周囲の目が気になる
- 他の人から赤ちゃんのおへそのことを指摘される
- 将来的にでべそが残ってしまわないか不安
- 将来的に手術が必要になるのではないか心配
など
こどものでべそ
(臍ヘルニア)の原因
でべそは、へその緒が通っていた部分の筋肉が完全に閉じないことが原因で起こります。生後間もない赤ちゃんは腹筋が弱いため、おへそが完全に閉じずに腸が前方に押し出されることででべそを発症しやすくなります。
- 早産(妊娠22週以降36週6日未満で出産された場合)
- 低出生体重児(出生時の体重が2,500g未満の場合)
- 遺伝的要素
など
こどものでべそ
(臍ヘルニア)の症状
おへその部分が膨らむことが特徴です。膨らみは柔らかいために押すと一瞬凹みますが、指を離すとまた膨らみます。
こどものでべそ
(臍ヘルニア)の受診の目安
- おへその膨らみが赤くなっている
- おへそのあたりを痛がっている
- おへその膨らみが硬く、押しても戻らない
- 嘔吐などの他の症状もある
など
こどものでべそ
(臍ヘルニア)の治療
ほとんどの場合、でべそはおへその筋肉が発達してくる2歳頃までに9割近くが自然に治ります。しかし、でべそが巨大な場合は、おへその筋肉が腸の圧力によって弛緩してしまって、ヘルニアは治っても出っ張った形状の臍になってしまうことがあります。巨大なでべその場合は、早めに治療することで自然治癒を促し、きれいな形に治すことが可能です。
圧迫療法について
でべそは圧迫療法によってきれいに治すことが可能ですが、生後半年を過ぎてしまうと治療が困難になります。そのため、生後3か月未満の時期に治療することを推奨しています。多くの場合、治療開始から数週間週間ほどでおへその膨らみが平らになり、おへそ周りの皮膚が黒ずんで硬くなっていきます。その後2~3か月ほどやめずに継続(週に1回程度の割合で圧迫を継続)していただくと、ほとんどの場合は完全に治癒します。お子様のでべそに関して不安を感じる場合には、できるだけ早く当院までご相談ください(圧迫療法は、乳児期早期に始めるほうが有効です)。当院では、通院は主1回程度ですが、通院が難しくてご自宅でもできそうな場合は、ご家族の方に圧迫療法のやり方を丁寧にお伝えしています。
圧迫療法の手順
- 「スポンジまたは綿球」と「医療用防水フィルム」を準備します。
- スポンジの場合はおへその膨らみの大きさに合わせて切ります。
- おへその膨らみに押し当て圧迫しながら、スポンジまたは綿球とフィルムを貼ります。この時、フィルムの下に空気が残ったり、しわができできたりしないように十分注意します。
- 基本的には7日に1回の頻度で交換します(交換前にはお風呂で臍を洗い入浴後はフィルムによる皮膚炎予防のためにスキンケアを行います。
圧迫療法の注意点
- 外側の水分は弾き、汗など内側からの水分は放散させる性質があるため、フィルムを貼ったまま入浴しても大丈夫です。交換する日は、入浴前または入浴中にフィルムを剥がしておへその中と周りをきれいに洗うようにしてください。
- テープで肌がかぶれた場合は当院までご相談ください。テープかぶれ(接触皮膚炎)で治療の中断期間が長いと治癒が遅れます。当院ではテープかぶれを起こさないように指導しています。
手術の目安
でべそ(臍ヘルニア)は2歳頃までには9割近くが自然に治りますが、2歳を超えても改善しなかった場合は、手術治療を検討します。小さな臍ヘルニアは、成長とともに形状が目立たなくなり、ほとんどが無症状です。稀に違和感を訴えたり、臍の形状を気にするようになったりすることもありますが、2歳以上の治療法は手術のみになります。手術が必要と判断した場合には連携する高度医療機関をご紹介いたします。