舌小帯短縮症とは
舌小帯とは、舌の裏側の真ん中にあり口の後方につながる縦の襞です。新生児期は一般的に太く短いですが、舌の発育とともに退縮し細くなります。舌の発育と舌小帯の退縮がうまくいかず、小帯が索状物として舌の動きを制限するような状態になると舌小帯短縮症となり、舌の動きが制限される先天性の異常です。そのため、乳児期は、哺乳が上手にできないことがあり、哺乳はできても、その後に、硬いものや大きいものを奥歯に運べずにうまく食べられないといった症状がでます。また、3~5歳になって発音がはっきりしない問題がでることもあります。
舌小帯短縮症の主な症状
哺乳不良
(浅飲み・眠り飲み)
乳房への吸いつきが浅かったり弱かったりするため、哺乳不十分のまま疲れて眠ってしまうことがあり、重度な場合は、哺乳量が不十分のため体重が増えないことがあります。また、吸いつき上手くできずに歯茎で乳頭を噛んでしまう、また、吸う力が弱く、乳管が詰まりやすくお母さんの乳腺炎を引き起こすことがあります。
摂食障害
(偏食や飲み込み癖)
舌の運動制限により奥歯に硬いものや大きいものを上手く運べないため、そういった食事を避けたり噛まずに飲み込んでしまう癖がついたりすることがあります。
構音障害
(舌足らずの発音)
特に舌先を使う「サ行」「ラ行」「タ行」の発音が不明瞭となります。また、舌を使う英語の発音(r/i/n)が不明瞭になるとも言われています。
形態異常
(ハート舌)
舌先が歯茎に固定されているため舌先端がハート形に割れたような形態(ハート舌)になります
舌小帯短縮症で
「経過観察でよい場合」と
「治療を勧める場合」の違い
明確な治療の基準はありません。お子さんの症状とご両親の希望に合わせて治療を行います。説明を受けた後に治療を希望するかどうかを相談します。局所麻酔切開の年齢層(1歳未満)は、体重減少・増加不良を伴う哺乳障害は治療適応の一つになります。
舌小帯短縮症の診療の現状
東京慈恵会医科大学母子医療センターでの専門外来の経験と舌小帯短縮症の手術治療に積極的に取り組んでいる新百合ヶ丘総合病院で診療に携わっている非常勤医師が担当します。
専門外来日時
毎月第3土曜日(13時30分から15時30分まで):完全予約制
診療内容:舌小帯の評価
(治療必要性の判断)
局所麻酔で手術が可能な場合(主に1歳未満)は、外来で手術を行います。
全身麻酔での治療が必要な場合は、小児専門の関連施設への紹介となります。
舌小帯短縮症の手術は
どんな流れで行われるのか?
局所麻酔であれば10~15分ほどで終わります。舌小帯周囲に麻酔のゼリーを塗布し、切開します。切開後に圧迫止血を行います。
手術後の注意点
切開から30分後に哺乳していただきます。合併症はほとんどありません。
舌小帯短縮症の
手術をしない場合のリスク
舌小帯短縮症を手術しないリスクは特にありません。滑舌が悪いまま成長する可能性がありますが、舌小帯短縮症があるまま大人になって特に困っていない方もいらっしゃいます。判断が難しい場合は、当院までお気軽にご相談ください。
