こどもの包茎について
包茎とは、包皮が亀頭を覆っている状態を言います。包皮が亀頭を完全に覆ってしまい亀頭が出せない状態を真性包茎、包皮をめくれば亀頭が出せる状態を仮性包茎と言います。一般的に包茎と言えば真性包茎を指し、真性包茎は先天的なものと後天的なものに分類されます。新生児の段階ではほぼ100%包茎ですが、年齢が上がるにつれて亀頭を覆っている包皮は少しずつ自然に剥けてきます。後天性の場合、包皮炎を繰り返すなどして包皮が何回もただれたり、外傷や無理に包皮を剥いて傷つけると包皮先端の皮膚が硬く狭くなったりすることで、真性包茎になることがあります。
こどもの包茎の症状
包茎そのものは特に問題はありませんが、長期間包茎が続くことで以下のような病気になる可能性があり、手術が必要な場合があります。
排尿障害
包皮が尿の出口を覆ってしまうことにより、尿が少ししか出なくなったり、排尿時に包皮に尿が溜まって膨らんだり(バルーンニング)します。
亀頭包皮炎
包皮に赤く腫れ、おしっこをすると痛みが出たり、触っていなくても痛みが出たりします。
尿路感染症
尿道に細菌が入って腎臓や膀胱に炎症が生じます。排尿障害により腎盂腎炎を繰り返す膀胱尿管逆流(VUR)を引き起こすことがあります。
嵌頓包茎
無理に包皮を引っ張って亀頭を出すことで、亀頭が締め付けられて腫れてしまった状態です。痛みも強く時間が経つと戻りくくなるため早めの処置が必要です。
包皮の内側の白い垢のようなものは何?
包皮の内側にある白い垢のようなものは恥垢と言い、亀頭から包皮が剥がれ落ちやすいように分泌されるものです。特に問題はありませんので、包皮が剥け始めたら洗い流して清潔にしましょう。こどもの恥垢は無理に取り除く必要はありません。
こどもの包茎の治療
9割以上のお子様は包茎で、正常な状態です。年齢が上がるにつれて自然に改善することがほとんどですので、多くの場合は特に治療は必要ありません。
日頃のケア
乳幼児期は無理に包皮を広げようとせず、入浴時に陰茎の根元側に優しくたぐりあげるように包皮を少しずつ伸展させていきましょう。包皮の先端をよく泡立てた石鹸やボディソープで丁寧に洗浄しながら少しずつ進展させることで、徐々に尿道が出てきます。無理に引っ張ると痛みを伴い包皮に傷がつくと包皮先端が硬くなり、逆に亀頭の露出が困難になることがあります。また、先端が広がらない状態で、亀頭を露出させたままにすると嵌頓包茎を引き起こして亀頭が腫れたり包皮が壊死する恐れもあるため注意しましょう。
軟膏治療
包皮の先端が狭くて尿道口が見えずに、排尿時に包皮先端が膨らむ(バルーンニング)状態は、膀胱や腎臓に負担がかかり、改善させる必要もあります。また、4~5歳頃になっても改善せず、尿道が出てこないためにおしっこが飛び散ったり、亀頭包皮炎を繰り返したり、問題がある場合は治療を行います。ステロイド軟膏を使用し、包皮を柔らかくした上で少しずつ包皮を引っ張り、包皮と亀頭の癒着を無理なく解消させます。ただし、一度包皮が剥けても治療を中断すると元に戻ってしまうことがあるため、状態が安定するまで継続することが大切です。この治療で8割程度のお子様は改善します。当院では、切らずに包茎を治す軟膏治療を行っています。自宅での治療が可能で治療期間は4~8週間になります。
手術について
多くの場合は思春期頃までに自然に包皮が剥けてきますので、乳幼児期に手術を行う必要はほとんどありません。ただし、軟膏治療を繰り返しても症状が改善しない場合や、他の疾患を引き起こす恐れがある場合は、手術治療を検討するケースもあります。当院では、手術治療が必要と判断した場合には、連携する小児専門の高度医療機関をご紹介いたします。